20220417
中欧班列のロシアへの輸送品目
プロロ-グ
本報告は-ここ数年の中ロ経済関係の現状と中欧班列(国際定期貨物列車/鉄道キャラバン隊)の対ロ輸送品目の内容などについて、以下に報告する。
中ロ経済関係
2019年5月30日付「チャイナネット」は、ここ数年の中ロ経済関係(貿易など)の内容(概況)について、以下の状況を明かにしている。
貿易
中国とロシアの経済・貿易協力の注目点は多く、貿易額が過去最高を更新しただけでなく、貿易構造も持続的に合理化している。2019年1-3月の両国の機械・電気設備製品貿易額は前年同期比で約5%増え、うちロシアから輸入農産物の増加率は12%超に達した。
プロジェクト
両国の戦略的プロジェクト協力の成果は豊富で、石油・天然ガス、原子力エネルギ-、航空・宇宙、インフラ、デジタル経済、科学技術イノベーションなどの分野で多くの重要な成果を上げた。
中国が参加する北極開発協力のモデルプロジェクトであるヤマロ液化天然ガス生産ライン3本はすべて操業を開始。両国相互持続の代表的工事となる同江鉄道橋と黒河道路橋(黒竜江省)が相次いで繋がり、東線(ィ-ストライン)天然ガス管プロジェクトも年内に稼働する見通しである。
極東地域
両国の地方同士の協力も進み、中国はロシア極東飛躍発展区・自由港プロジェクト30件余りに参加し、投資計画額は30億米ドルに上る。今回のロシア・中国ビジネスフォ-ラムはモスクワ州、オリヨ-ル州、スモレンスク州などロシアの10カ所余りの地方政府代表が参加した。
中欧班列利用
このように中国との経済・貿易協力を重視するロシア側の姿勢がみられた。また、ワリヤノフスク州知事のモロゾフ氏は、中国が同州にとっても最も重要な貿易市場となり、2018年の対中貿易額が15.5%増加したことを明らかにした。「自分たちの独特な地理を利用して、“中欧班列の貨物積換倉庫”を建設したいとして、中欧班列の利用を経済発展の機会として位置付けている。
中欧班列輸送
中欧班列
出典:「新華網日本語」
プロジェクト
2021年3月24日付「人民網日本語版」によると、四川省成都始発、ロシア・サンクトぺテルブルグ行(バルト海/ロシアの港湾都市)の国際定期貨物列車「中欧班列」第1便がこのほど、サンクトぺテルブルグのシュシャリ駅に到着した。
この列車には、中国化学工程第7建設有限公司のバルト海天然ガス化学工業コンプレックスプロジェクト建設で使用する関連物資が積み込まれている。物資はコンテナ50基に積み込まれ、総重量677トンである。
成都からサンクトぺテルブルグへの「中欧班列」はテスト運行がすでに成功しており、輸送時間が海上輸送に比べて2カ月近く短縮され、顧客は貨物輸送移動の所要時間を大幅に節約できる。
ロシア鉄道十月鉄道支社のゴロモルジン社長は同日に行われた歓迎式典で、「中欧班列は『一帯一路』(the Belt and Road)共同プロジェクトの実施を後押しするものであり、ロシアと中国の貿易のポテンシャルがさらにかき立てることになる」と述べた。
バルト海天然ガス化学工業コンプレックスプロジェクトは、建設期間中に現地の数千人の雇用を生み出し、現地の従業員は技術・技能訓練を受けることができる。このプロジェクトが完成すれば、ロシア液化天然ガスの輸出量が30~40%増加する見込みで、現地の経済社会の発展がより一層促進されることになる。
サンクトペテルブルク
出典:「写真AC」
民生品供給
パソコン等
2021年1月12日付「新華社」によると、中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車「中欧班列」が1月10日、一体型パソコンやプリンタ-用トナ-カ-トリッジ、緑茶、歯ブラシ、非ブラシ、非医療用マスクなどを入れた計48個のコンテナを積んで江西省南昌市の向塘国際港横岡駅からロシア・モスクワ近郊のポルシノ駅に向け出発した。
同便は江西省内で生産された製品だけを運ぶ特別列車で、南昌発の中欧班列が開通してから初めての運行。列車は同省製品のより円滑な対外貿易ルートとして、新たな発展を切り開いている。
ロシア中央部
2018年12月7日付「チャイナネット」によると、コンテナ42個で編成され、温水器やキャビネットなどの日用品を満載した中欧班列が12月6日、満州里駅(内モンゴル自治区)を出発し、ロシアのヴォルジ-駅へ向かった。中国最大の鉄道税関である満州里駅を経由して出入国する中欧班列の運行数は合計で3000本の大台に達した。
主な集荷地は中国西南部・華南・華東・東北など複数の地域に渡り、目的地はモスクワ・ワルシャワ・マラシェビッチ・クンツェフスカヤ・エカテリンブルグ(ロシアの中央部に位置する都市)・ヴォジ-ノなど12の複数の都市に広がる。
エピロ-グ
中欧班列の輸送品目について、数少ない情報から見えてくるは-①バルト海天然ガス化学工業コンプレックスプロジェクト建設に関する情報である。中欧班列がプロジェクトの一部の供給を担っている。②ロシアが必要な日常品(民生品)を供給している。
ロシアにとって、ウクライナ侵攻後、西側の制裁は今後も強まるばかりで弱まることはない。今後、中国の中欧班列を利用した対ロ支援は強まることが予想される。
(グローバリゼーション研究所)所長 五十嵐正樹


